土地家屋調査士とは
土地家屋調査士とは土地の面積や利用状況および建物の構造や面積の現況を表す登記(表示に関する登記と言います)申請手続きに関して、所有者に代わって手続きを行うことができる法務省管轄の資格です。 具体的には、下記のような業務を行います。
土地境界確認(立会)
境界を接する土地の所有者が現地において境界を確認し、互いの合意が成立した証として現地に境界標を設置のうえ、後日のために土地境界確認書に互いに署名・捺印し各自1通を保管します。
土地に関する登記
- 分筆(登記簿上の土地を2つ以上に分割するとき)
- 合筆(登記簿上の2つ以上の土地を1つに合併するとき)
- 地積更生(登記簿記載面積と現況面積の誤差が大きい場合、登記簿記載面積を修正するとき)
- 地目変更(土地の利用状況に変化があったとき、登記簿上の土地利用状況を修正するとき)
建物に関する登記
- 表題登記(建物を新築した場合、初めてその建物登記するとき)
- 表題部変更(増築・一部取り壊し、屋根の種類の変更があったとき)
- 分割(登記簿上の1つの建物を登記簿上別々の建物としたいとき、例:事務所と工場が1つの登記簿となっているときに、工場のみを売却するなど)
- 合併(登記簿上別々の建物を登記簿上1つの建物としたいとき、例:お隣の建物の倉庫を購入したとき、購入した倉庫を自分の建物に附属する建物として登記しておきたいなど)
- 区分(1つの建物に隔壁を設けて、別々の建物として登記したいとき、例:普通の建物を2世帯住宅にリフォームして、親子で別々の名義で登記したいときなど)
- 滅失(建物を取り壊したとき)
筆界特定手続
- 筆界特定制度とは、土地の範囲として法務局に登記された線(筆会)を、筆界特定登記官という法務局職員が明らかにする制度です。
- お隣さんが土地の境界確認に協力してくれない場合でも、法務局としての見解を示してもらえるという点が、これまで裁判でしか第三者の見解が得られなかったことに比べて、隣人同士で裁判をしなくて良いことがメリットです。
- 筆界特定の結果に不服があれば、正式な裁判(境界確定訴訟)を提起することは可能ですが、一般に筆界特定の結果を覆す判決が出ることは稀です。
- 土地の一部が売買されながら登記されていなかった場合や、土地の一部が時効取得された場合などは、筆界と所有権の範囲にズレが生じますので、筆界特定の結果が出ても、所有権のおよぶ範囲の争いが完全に解決するわけではありません。(その場合、話し合いで解決しない場合は、裁判または下記の民事調停手続きを検討することになります。)
土地境界問題に関する民事調停(ADR)
- 「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)に定められた、民事調停の手続きです。
- 筆界特定手続と異なり、必ずしも「筆界」だけに対象を限定していませんので、土地の境界問題に関する悩み(お隣からの越境物を解消してもらいたい等)に関して、第三者を交えて話し合いをする場として利用していただけます。
- 東京では、「東京土地家屋調査士会 境界紛争解決センター」行っております。
- 弁護士と法務大臣から認定を受けた土地家屋調査士が共同して当事者の代理人になります。(代理人は必須ではありませんが、調停の席で専門的な知識が必要になりますので、代理人を選任することをお勧めします。)
※当事務所の土地家屋調査士は、法務大臣認定土地家屋調査士です。
参考資料
東京土地家屋調査士会境界紛争解決センターリーフレット(PDF)
東京土地家屋調査士会境界紛争解決センター利用ガイド(PDF)